昭和の食卓

sansanhiroba

2015年05月26日 11:56

世の中いろんなことで原点回帰が叫ばれている。何事にも原点に戻らなければ物事は成功しないという感覚になっているように強く感じさせられている。

そこで考えたのだが、今後原点回帰が一層求められる中で一つの例として昭和の食卓を飾るメニューが見直されてくるのではないだろうか。昭和の食卓を飾るメニューの多くが日本食であることに注目したい。ここに原点回帰のポイントがある。


例えばきれいに洗った茶碗をはじめとする器には白いゴハンに豆腐とワカメのみそ汁、サンマの塩焼きと里芋の煮物。そして小鉢に春雨の酢の物、そしてキュウリのぬか漬け・・・。こういったものが並んでいて日本の夕暮れの食卓というものは彩られていたというのが容易に想像がつく。しかしここ30年ぐらいは良くも悪くも食生活は欧米化してきたことで、こういった日本食の良さを置き去りにして子供の好きなものばかりをつくる家庭も目立つようになってきた。実は昭和の食卓には「食事マナー」というキーワードが隠れているのである。そして食生活だけでない生活スタイルの欧米化が日本人の「食事マナー」の乱れというのが少なからず感じられる。

日本人の食事のマナーは大変細かくややこしい感じがして、客観的に見てみるととても理にはかなっているものの、改めてマスターしようと考えてしまうと結構難しい気がする。しかし上記のような食事を続けていれば少しずつではあるが、器や箸の基本的な持ち方が改めて身に付いてゆく。またサンマなど焼き魚などを食べる際に、骨などを避けることを練習して行けばいかにきれいにそして勿体なくないように食べるかもわかってくる。焼き魚というメニューは箸遣いの方も鍛えられるので、これは子供だけに限らず。大人も今一度マナーを見直す機会になるのではないだろうか?

そして近年現代人の多くが抱える健康の問題も昭和の食卓に乗るメニューを食べていれば深刻な問題にならなかった部分もあったのではと思う。魚・野菜・みそ・米とやはり日本人の本来の体質に合ったものが食材として使われており、これらをキッチリ摂っていた人ほど長生きであるというデータもあるそうだ。無論、肉がダメだとか欧米化している食文化を全て否定しているものではないが、昭和の食卓は極めて健全だったと言えるかもしれない。

その原点回帰になかなか踏み切れない理由は作るときの面倒さにあるかもしれない。日本食というのは手間を惜しまずに作ることが結構美しいとされている。しかしこれも生活スタイルの欧米化によりより合理的かつ簡単なやり方で食事を作ってしまう(できあいの物を出すとか、冷凍食品などを温めるだけということ)傾向があるためこの原点回帰にたどり着けないのである。また最近はなかなか基礎的な日本食を教えられる方が少なくなっており、そのあたりも原点回帰の妨げになっている可能性がある。
今一度、料理をされる方は日本人の原点に戻って昭和の食卓がどんなものだったかというのを研究してみるのも良いことではないだろうか?そこから見えてくるものが少なからずあると言えるだろう。

(from AME)

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